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1) 聖観音(不退寺) | 1. 聖観音は千手観音、十一面観音などの変化観音 と違い、観音像の基本形として人間に近い造形で 正観音とも書く。
(3) 救済:地獄界 (4) 作例:
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1) 救いを求める衆生を良く観察して意のままに救う。 2) 1面2臂で通常の人間の形をした観音菩薩の原型である。 3) 南海普陀落山浄土:観音霊場 日光男体山。 4) 三千院の阿弥陀三尊の左脇侍では死者の魂を載せる蓮台を 持つ。 5) 元来、阿弥陀仏の脇侍で、宝冠に化仏をつけ、独尊としても 信仰される。 |
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2) 十一面観音(法華寺) | 1. 十一面観音は変化観音では一番古くに登場し、 聖観音に次いで 多くの遺例をもつ。 2. 本面(正面の顔)を入れて十一面とする場合と本 面を入れずに頭上に十一面を刻む場合がある。 3. 観音の標識である阿弥陀の化仏は面数には入 れない。 (1) 持物:
(3) 救済:修羅界 (4) 作例: @国宝:室生寺、六波羅蜜寺、向源寺、
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1) 最初の変化観音でヒンドゥー教の影響下に7世紀ごろ造像された。 四方八方に顔を向けてすべての衆生を救う。 2) 十一面:下記の5相からなる。 @前3面・菩薩面(衆生に楽を施す慈悲の表情) A左3面・瞋怒面(怒った顔で衆生を善行に向かわせる) B右3面・狗牙上出面(白い歯を出して微笑んで衆生に仏道を勧める) C後1面・暴悪大笑面(衆生の悪行を大口を開けて笑い滅する) D仏頂1面・如来面(悟りを開いた究極的な理想の表情) 3) 十一面神咒心経によれば、右手は垂下して数珠を持ち、左手には 紅蓮を挿した花瓶を持つこととされている。ただし、彫像の場合は 右手の数珠が省略ないし亡失したものが多い。 4) 長谷寺本尊の十一面観音像は、左手には通常通り蓮華を生けた 花瓶を持っているが、右手には大錫杖を持ち、岩の上に立っている。 |
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(1) 印相・持物:
(3) 救済:人間界 (4) 作例: @国宝:東大寺、興福寺、広隆寺 A重文:大安寺、観世音寺、不空院 |
1) 羂索と言う強力な網で悪や煩悩を縛りあらゆる衆生を救う。 2) 天平から平安初期にかけて多数造像されたが、現存数は極めて少 なく、奈良を中心に十体足らずが残る。 3) 第三の眼と鹿皮の左肩衣(春日大社の守護神)が特徴。 4) 東大寺の不空羂索観音像は、岡倉天心が主導した「現状維持 修理法」(現状のままで保存に耐えうる程度の修理のみ行なう) に基づいて修復された日本初の仏像である。 5) 三大不空羂索観音:東大寺法華堂、興福寺南円堂、不空院 |
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(1) 印相・持物:
(3) 救済:餓鬼界 (4) 作例: @国宝:興福寺、広隆寺、唐招提寺、三十三間堂、
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1) 十一面に加えて千手と千眼の大盛りで無限の救済能力を表わ す。特に煩悩を除き病気平癒,虫の毒消し、難産にご利益あり、 シヴァ神の別名。 2) 通常は42臂で合掌手2手を除く40手に二十五有の世界を掛け て千手とする。眷属は二十八部衆。 3) 42本手の内、中央手2本は胸前で合掌し、他の2本は腹前で両 手て宝鉢を持つ(宝鉢手)。脇手38本は様々な持物を持つ。 実際に千の手を持つ三大千手観音:唐招提寺、葛井寺、寿宝寺 4) 千手観音の中には十一面ではなく、一面(道成寺胎内仏)や二十七 面(清水寺)の作例もあるが、二十七面は少なく十一面が殆どである。 一面千手は古態と考えられる。 |
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5) 如意輪観音(観心寺) | 1. 如意輪観音は畿内を中心に二十数体が現存す る。日本三大如意輪観音 (観心寺、室生寺、 神咒寺) (1) 印相・持物:
(3) 救済:天界 (4) 作例:岡寺、醍醐寺、三井寺、観心寺、室生寺
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1) 如意宝珠で願いを叶えて法輪で煩悩を破壊しあらゆる衆生に 財宝を与える、智慧、財福、福徳授与、安産、延命のご利益が ある。 2) 輪王座:右ひざを立て、その足の裏を左の足裏と合わせる。 3) 二臂の如意輪観音像として石山寺の秘仏本尊、飛鳥の岡寺の 本尊がある。左足を踏み下げる。 4) 日本三大如意輪観音:観心寺、室生寺、神咒寺 |
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1. 日本最古の明確な造像例は石川豊財院の木像 で、平安中期の作と推定される。次いで 平安後 期のものでは福岡観世音寺の巨像,鎌倉時代以 後は作例も多く,京都浄瑠璃寺(奈良博寄託)のも のはよく知られている。 (1) 印相・持物:
(3) 救済:畜生界 (4) 作例:豊財院、大安寺、観世音寺、大報恩寺
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1) 天馬のように駆け巡りあらゆる障害煩悩を食い尽くす 、ヴィシ ュヌ神が馬頭に変身し盗まれた聖典を東北角で奪還した神話 が由来。 2) 馬頭宝冠と赤色忿怒相が特色。 3) 三面三目で三界を見渡し、八臂で八方の煩悩を取り除く。 4) 馬が交通の主な手段である時代では交通安全の守護神。 |
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7) 准提観音(醍醐寺) | 1. 禅宗の僧堂に祀られている。泉涌寺の秘仏も知ら れているが、いずれも江戸時代以降の作。平安・ 鎌倉時代の単独の造像例は少なく、大報恩寺、 新薬師寺旧蔵(文化庁)に見られる。 (1) 印相・持物:
(3) 面臂:一面三目十八臂 (4) 救済:人間界 (5) 作例:大報恩寺、文化庁 |
1) 准胝とは「限りない清浄」を意味し限りなく仏を誕生させる 真理そのもの、仏母として敬われ安産や子供を授ける。 2) 七千万の仏を生み出した七具胝仏母(東洋のマリア)。 |
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◎五大明王 | ||||||||||||
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1) 不動明王(正寿院) | (1) 台座:瑟瑟座 岩座 (2) 持物:右手宝剣・左手羂索 (3) 光背:迦楼羅炎 (4) 面臂:一面二目二臂 (5) 作例: @単独: 醍醐寺理性院、醍醐寺三宝院、 金剛峰寺、同聚院、金剛寺、淨楽寺、 奈良博(正寿院) A浪切不動:高野山南院、神童寺、常禅寺 B黄不動:三井寺 C赤不動:遍照寺 (6) 不動三尊:不動明王の右手に制多迦童子 左手に矜羯羅童子を配置する。 @作例:浄瑠璃寺、願成就院、西明寺 |
1) 様式 @ 空海請来の大師様 髪形は綺麗に整った総髪で、両目を見開き、上唇で下唇を噛み、両牙を下方 に出す威厳のある顔の坐像が多い。 A 安然の不動十九観 巻髪で、口を閉ざし、左牙を下向き、右牙を上向きに出す。若干ではあるが、 左眼は細めて下方に、右眼は上方に視線を向ける天地眼の立像が多い。 2) 梵語名のアチャラナータの意味は「動かないこと」であり、 これから 不動明王と呼ばれる。 3) 常に火焔の中にあり、燃えさかる炎であらゆる障害と一切の悪を焼き 尽 くす。 4) 右手に邪心や迷いを断ちきる倶利伽羅剣を左手には悪心を縛り上げ、 善心を呼び起す羂索を持ち、破壊と救済を併せ持つ。 5) 眷属: 矜羯羅童子(合掌独鈷杵)・制多伽童子(団子髷)八大童子。 |
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2) 降三世明王(醍醐寺) | (1) 台座:シヴァ神夫妻踏付座 (2) 印相・持物:
(4) 単独作例: 明通寺、寿宝寺、金剛寺、慈恩寺 |
1) 梵語名はトライローキャヴィジャヤと言い、3つの世界を降伏させるものと いう意味から降三世明王と言われる。 2) 阿シュク如来の化身として、過去、現在、未来の「三世」における、 貪欲・ 瞋恚(しんに)・愚痴の三煩悩を取り除いてくれるとされる。 3) 四面の各三目で三世を見渡し、八臂で三世八方の衆生の煩悩を取り除く。 4) シヴァ神がヒンドゥー教で「過去・現在・未来の三つの世界を治める神」と されている為、三つの世界(三世)の王を降す者という意味で「降三世」の 名が与えられた。 ヒンドゥー教の最高神シヴァ夫妻を踏付け仏教の優位 を誇示。 |
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3) 軍荼利明王(奈良博) | (1) 台座:踏割蓮華座 (2) 印相・持物:
(4) 単独作例:金勝寺 |
1) 梵語名グンダリーの音写とされる。 梵語名の意味は、とぐろをまくもの。 2) 手足に蛇を巻き付け、 蛇の毒によって煩悩を打ち砕き衆生に不死・ 利益・息災延命を与える。宝生如来の化身である。 3) 一面三目で三界を見渡し、八臂で八方の外敵、煩悩や障害を取り除く とされる。 4) 甘露をいれる壺という意味もあり、 不治の妙薬の甘露の信仰にも結び つく。 |
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4) 大威徳明王(奈良博) | (1) 台座:水牛座・泥水の世界を歩く (2) 尊称:六足尊 (3) 印相・持物:
(5) 単独作例: 石馬寺、真木大堂 、称名寺、牛伏寺 |
1) 大威徳明王の梵語名:ヤマーンタカは「死の神ヤマ(=閻魔)を倒すも のの意味で、降閻魔尊とも呼ばれる。 2) 阿弥陀如来の化身として、 一切の悪を降伏させる力を有する。 3) 6本の足は六波羅蜜を、6つの顔は六道を象徴する。6つの腕で六道の 衆生を守る、戦勝祈願の本尊である。 4) 正面と左右の3面は大笑顔、頭上の3小面は白牙顔。 5) 虎皮で腰を覆う、瓔珞・冠に髑髏文。 |
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5) 金剛夜叉明王(大覚寺) | (1) 台座:踏割蓮華座 (2) 持物:
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1) 梵語名をバジュラヤクシャといい、ヴァジュラとは金剛杵という武器を 意味する。 2) 元来、人を襲って喰らう魔神(夜叉)であったが、後に大日如来の威徳 により、仏教に帰依し、守護神五大明王の一角を占める。 3) 不空成就如来の化身として、 一切の悪衆生と三世(過去・現在・未来) の様々な欲望・悪を金剛杵で打ち砕く。 4) 正面の五つ目は五智如来を象徴する。左右二面の三目で三世、三界 を見渡し、六臂で六道の仏敵と戦う。虎皮で腰を覆う。 5) 五大明王の一尊としての造像、単独像はほぼ見られない。 |
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6) 愛染明王(奈良博) | (1) 台座:宝瓶上蓮華座 (2) 頭上:獅子冠 (3) 光背:赤月輪 (4) 持物:
(6) 作例: 西大寺、神護寺(東博寄託) 、仁和寺、 三井寺 、舎那院 、金剛心院、奈良博、 東博 (7) 天弓愛染明王:放光寺、金剛峯寺、神童寺 (8) 両頭愛染明王:金剛峯寺 |
1) 梵語名はラーガラージャで、ラーガとは赤色、情欲、愛染の意、ラージャ は王の意。 2) 愛欲は人を滅亡に繋げる力と、逆に向上させる力を合わせ持つが、愛染 明王の力を借りて愛欲を自らを高める力に浄化する。愛欲のような強い 煩悩もいずれは真理に融合する(煩悩即菩提)。 3) 三目は三界を見通す事を示し、六臂は六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、 修羅道、人道、天道)に落ちたすべての衆生を救うことを意味する。 4) 異形像としては、火焔光背で天に向かって弓を引く天弓愛染明王があり、 さらに中世には不動明王と合体した両頭愛染明王があり、独自の信仰を もつ。 |
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7) 孔雀明王(金剛峯寺) | (1) 台座:孔雀座 (2) 持物:
(4) 作例:金剛峰寺 |
1) 元来はインドの女神マハーマーユーリーで偉大な孔雀を意味する。 2) 孔雀は、コブラなどの毒蛇を食べ、人々の災厄や苦痛を取り除く益鳥と された。後年になると毒蛇を食べることは、人間の煩悩である心毒(貪・ 嗔・癡)も食いつくし人々を救うとされ神格化された。 3) 四臂で四方の衆生を災厄や苦痛から守る。 4) また雨を予知する能力があるとされ祈雨法(雨乞い)にも用いられた。 |
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8) 大元帥明王(秋篠寺) | (1) 台座:邪鬼踏付座/踏割蓮華座 (2) 面臂:一面三目六臂 (3) 印相・持物:
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1) 古代インド神話に登場する非アーリアンの鬼神アータヴァカに由来し、 荒野鬼神大将と漢訳される。 2) インド神話においては弱者喰らう悪鬼神とされたが、大日如来の功徳 により改心し、絶大な力を持って 国土や衆生を護る明王となった。 3) 三目で三界を見渡し、六道の衆生に害を与える仏敵と戦う。 4) 宮中では古くから鎮護国家・外敵降伏などを目的として大元帥明王を 本尊とする秘法が盛んに行われてきた。 |
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9) 烏枢沙摩明王(瑞龍寺) | (1) 台座:片足立ち座 (2) 持物:宝剣、羂索、三鈷杵、棒 (3) 面臂:一面三目四臂 (4) 作例:瑞龍寺 |
1) 古代インド神話ではウッチュシュマと呼ばれた炎の神である。 2) 烈火をもってこの世の汚れを焼き尽くし、不浄を浄化する神力を持つ ことから、不浄潔金剛や火頭金剛とも呼ばれ、多くの人々に信仰された。 古くから怨霊の通り道だと考えられた便所に祀られることが多い。 3) また、胎内にいる女児を男児に変化させる力を持つと言われ、男児を 求める平安時代の公家に広く信仰された。 4) 天台宗では金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王を五大明王の一 尊とする。 |
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