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奈良博物館京都博物館東京博物館九州博物館文化庁美術館

奈良博物館


なら仏像館
1894年に竣工した 旧帝国奈良博物
館本館・なら仏像館は、 飛鳥時代か
ら鎌倉時代に至る 彫刻史を代表す
る優れた 国宝や重要文化財を含む
仏像を常時100件以上を展示する。

正面
1894年に完成した奈良では初の本
本格的な西洋建築。フレンチ・ルネ
ネサンス高揚期の様式に則って設
計された明治時代中期の代表的な
西洋建築。

内部
展示室は 第1室から第13室まであ
り飛鳥から 鎌倉時代までの主要な
仏像を見ることができる。

01-1 天平
国宝:岡寺・義淵僧正坐像
 像高は93cm、木心乾漆造、彩色
 仕上げ。義淵僧正は、8世紀初頭
 の指導者。多くの寺院開祖に関与
 老僧を写実的に捉えた肖像彫刻。

01-2 天平
銅造薬師如来坐像(2)
 懸裳が 蓮弁の先端にかかる作例
 は珍しい。 垂下する衣も含め一鋳
 で造られ、像内は中空。

01-3 天平・唐
力士形立像
像高59.0 cm、乾漆造(脱活)、截金
彩色仕上げ。冠の帯や天衣の部分
は木屎が剥落し心としていた銅線が
露出している。瞳には異材を嵌入。

01-4 天平・唐
力士形立像(2)
顔面は口髭と顎鬚をたくわえ 歯を
見せて下唇をかむ。胸から腹の誇
張された姿勢や、裙の衣文表現は
日本の造像とは異なる。

01-5 天平
十一面観音立像(1)
像高42.8 cm、白檀材一木造、一部
彩色、素地、彫眼仕上げ。白檀の木
肌の色と芳香を貴んだ檀像。

01-6 天平
十一面観音立像(2)
 目鼻立ちが大ぶりであり、 面奥が
 深い平安前期の造形である。装身
 具持物、天衣なども本体と共彫り。

01-7 平安前期
国宝:若王子神社・薬師如来(1)
 像高 49.7cm、カヤ材の一木造、彫
 眼仕上げ。彫の深い顔立ちや衣の
 ひだの鋭い彫りに檀像の特色があ
 る。

01-8 平安前期
国宝:若王子神社・薬師如来(2)
 膝が台座から はみ出す表現や衣
 文の彫り方は、京都・東寺講堂五
 大菩薩像とよく似ている。

01-9 平安前期
国宝:薬師寺・八幡三神僧形八幡
 像高38.8p、一木造、白土彩色。
 初期の神仏習合の形態。翻波や
 渦文、茶杓形の衣文が見られる。

01-10 平安前期
国宝:薬師寺・八幡三神仲津姫命
 像高 36.8p、一木造、白土彩色。
 応神天皇の皇后。娘の姿で表現。
 右足を穏やかに立てて坐す。

01-11 平安前期
国宝:薬師寺・八幡三神神功皇后
 像高は33.9p、一木造、白土彩色。
 応神天皇の皇太后。前髪を両腕ま
 で、後髪は腰辺まで垂らす。

01-12 平安前期
国宝:元興寺・薬師如来
 像高164cm、カヤ材の一木造。 右
 の掌を外に向け施無畏の印を結び
 左掌に薬壷を持つ。

01-13 平安前期
国宝:元興寺・薬師如来(2)
 厚みがありがっしりとした体つきで
 衣のひだは太く、彫りも深く翻波式
 衣文が見える。

01-14 平安前期
如意輪観音
像高94.9 cm、榧材の一木造、彫眼
彩色仕上げ。頭・体を一材から彫り
出し、内刳を施さない。 連なった眉
切れ長の眼の顔面はインド風。

01-15 平安前期
如意輪観音(2)
頭体部ともに奥行の深い量感ある
表現は平安前期の特徴。幅広く懸
かる条帛は、西域伝来の菩薩像の
影響が見られる。

01-16 平安後期
増長天(1)
像高は163.2cm、ヒノキ寄木造、彩
色仕上げ。興福寺の北円堂に伝来
した四天王像の内2体 (増長天・多
聞天)は当館で保管。

01-17 平安後期
増長天(2)
 眉を寄せ、瞋目、開口して威嚇す
 る。右手を上げて戟を執り、左手
 は 腰に当て腰を左に捻る。
持国天はミホミュージアム収蔵

01-18 平安後期
多聞天(1)
 像高は、155.5cm、ヒノキの寄木造
 彩色、玉眼嵌入。興福寺北円堂の
の四天王の内2体を当館で保管。
広目天は興福寺国宝館収蔵

01-19 平安後期
多聞天(2)
頭部を左に傾け、眉を寄せ、瞋目
 開口。右手は 高く上げ宝塔を乗
せ、左手は下げて宝棒を執る。

01-20 平安後期
大日如来
像高95.2cm 桧の一木割矧造、彩
色仕上げ。 桧の一材から彫り出し
前後に割り矧ぎ、割首。 猫背気味
でゆるい肉取りは平安後期の様式

01-21 平安後期
大日如来(2)
髻後方を含む後頭部、髪際から顎
までの面部、体部背面の背板、両
脚および両腕など広範囲に補修個
所が見られる。

01-22 平安後
蔵王権現
像高30.5cm、銅造 鋳造 鍍金仕上
げ。獣皮を着けず 左手を刀印とせ
ず五指を伸ばす、裙の下端を両脚
間に巻き込むなどは古式の形態。

01-23 平安後
蔵王権現(2)
頭・体部の豊かな肉取りに対し、
細身な手足の表現は 平安後期
の様式。山岳修験の場で用いら
れるため金属製の作例が多い。

01-24 平安後
兜跋毘沙門天
像高164.0 cm、寄木造、彫眼、白土
地に彩色仕上げ。像背、甲の裾、両
肘以下、左足首以下、右沓先、持物、
台座は後補。

01-25 平安後
兜跋毘沙門天(2)
東寺の像が原像で、平安時代に多
数造立された模像の一つ。東寺像
に比べ 体の厚みを減じ、腰のひね
りも抑えるなど、総じて穏健な作風。

01-26 鎌倉
釈迦如来
像高78.7 cm、榧材の一木造、後頭
部の割矧、玉眼、彩色仕上げ。 鎌
倉時代以降に流行した清凉寺の釈
迦如来像を摸刻したもの。

01-30 平安中期
文化庁蔵・聖観音像 
像高:約190p、カツラ材の 一木彫
像、 古色仕上げ 。元は、不退寺
聖観音との一具であり、三尊像の両
脇侍であったと考えられる 。両腕は
後世の補修で、顔も後世に修理。 

01-27 鎌倉
釈迦如来(2)
縄目状の頭髪や、同心円状の衣文
が 配された袈裟を通肩に着す点は
原像の姿を忠実に写すが 明快な彫
り口は鎌倉時代の特徴を示す。

01-31 平安中期
文化庁蔵・聖観音像(2)
奈良博に、セゾン現代美術館(旧高
輪美術館)寄託の聖観音像」として長
年展示。2009年、文化庁がセゾン現
代美術館から購入し、引き続き奈良
博に寄託展示されている。

01-28 鎌倉
愛染明王
像高 26.2 cm、檜材の一木造、割剥
彩色、玉眼嵌入。六臂の右中央手で
五鈷杵、左で五鈷鈴を持つ。

01-32 平安後期
新薬師寺・十一面観音
像高178.6cm、光背高218.2cm、 檜
材の寄木造、漆箔、彩色仕上げ。目
を伏せた、なで肩で華奢な体型、浅い
衣文などに特徴 。頭部が極端に小さ
い長身痩?体型。

01-29 鎌倉
愛染明王(2)
 台座や光背はもとより、金銅製の
 装身具や 表面の彩色にいたるま
 で良好な保存状態。

01-33 平安後期
新薬師寺・十一面観音(2)
南都で広まりをみせた板光背で、透
彫は行わず、彩色で唐草文等を描く
着衣にも光背と同趣の彩色を施す。
京都では着衣の装飾は截金文様が
主流である。


京都博物館


京都博物館
1897年 に開館した旧帝国京都博物
館本館である。明治古都館と平成知
知新館がある。特別展示館、平常展
示館として利用される。

正面
平安から江戸期の国宝 重要文化財
を含む8千余件を収蔵。また 国宝重
要文化財を含む6千件が寄託されて
いる。

内部

01-1 天平
高山寺・薬師如来坐像
像高73.6cm、木心乾漆造、漆箔仕
上げ。量感のある体躯に峻厳な表
情を浮かべる。三尊像で日光菩薩
は東博、月光菩薩は東芸大で保管。

01-2 天平
神護寺・薬師如来坐像
像高68cm、檜材の漆、木心乾漆造
右手は施無畏印、左手は与願印。
坐高はややい。衣文は膝頭にな
く、膝下からは短く太い線条文。

01-3 平安前期
国宝:安祥寺・大日如来(1)
 日本最古の五智如来。像高は大
 日如来が158cm、他が約110cm
 乾漆併用カヤ材一木造り。

01-3 平安前期
国宝:安祥寺・大日如来(2)
 智賢印、 宇宙の真理である無上
 の智慧(物事の絶対真理を獲得し
 受け取る智慧を持つ)の化身。

01-4 平安前期
国宝:安祥寺・阿しゅく如来
 右手降魔印、左手で衣端を握る。
 大円鏡智(明鏡止水の如く映す鏡
 で正しい判断ができる)を具現化。

01-5 平安前期
国宝:安祥寺・阿弥陀如来
 阿弥陀の定印 、妙観察智(教化
 の対象を偏見を持たず客観的に
 把握し説法を行う )を具現化。

01-6 平安前期
国宝:安祥寺・宝生如来
 右手与願印、左手で衣端を握る
 平等性智(自他が差別のない存
 在であることを知る)を具現化。

01-7 平安前期
国宝:安祥寺・不空成就
 右手施無畏印、左手で衣端を握る。
 成所作智 (状況を把握し何をどう
 なすべきかを理解する)を具現化。

01-8 平安前期
光明寺・千手観音立像
像高162cm、寄木造 下半身背面か
ら内ぐり。遣唐使の帰路、観音の名
号て水難を逃れた吉備真備が 唐檀
木で像とした。吉備観音とも呼ぶ。

01-9 平安前期
新町地蔵保存会・地蔵菩薩坐像
像高47.5cm榧の一材よりほぼ全容
を彫出す。厚みと張りのある肉付け
重厚な表情、深く密に刻まれる翻波
式衣文。広隆寺講堂像に次ぐ古作。

01-10 平安中期
妙伝寺・十一面観音像
等身大、頭は桧の一材から彫出内
刳無し。肩、手 首、左臂を矧ぐ。頭
体躯は 太造りで表情は柔和。着衣
の彫口に襞の数が多い。

01-11 平安後期
国宝:浄瑠璃寺・多聞天(1)
像高 167.0cm 、檜材の 寄木造、漆
箔、彩色、截金仕上げ。当初の彩色
と截金文様が残っている。
浄瑠璃寺:持国天・増長天

01-12 平安後期
国宝:浄瑠璃寺・多聞天(2)
他像は 腰をひねった動きがあるが
ほぼ直立、腰前でU字を描く天衣が
ゆったりしている。
東京博物館:広目天

01-13 平安後期
京都博物館:鉈彫・宝誌和尚
 予言と神通術で菩薩の化身と敬わ
 れる。面部中央で縦に割れ内側の
 面部の頭上に菩薩が現れる。

01-14 平安後期
京都博物館:鉈彫・宝誌和尚(2)
  ヒノキの一木造、彫眼、素地作り
 全面に鑿痕を残す鉈彫像 。鉈彫
 像は平安期に東国を中心に流行。

01-15 平安後期
願寺・毘沙門天立像
像高83.3cm、一木造、素地仕上げ。忿怒相ながら穏やかな表情。甲冑
衣服の袖、特に右手袖、両脚の衣
文線は大きく表現されている。

01-16 鎌倉
清水寺・伝観音・勢至菩薩像
像高104〜105cm、桧材の寄木造。勢至・観音と伝わるが、 阿弥陀堂
の阿弥陀三尊の月光・日光菩薩。
衣の動きに躍動感がある。

01-17 鎌倉
高山寺・白光神立像
像高42.3cm 、木造彩色仕上げ。聖
地ヒマラヤの冠雪と清浄な峰を象徴
し、全身を白く塗る。 白衣は白い下
地に白線を用いて模様を描く。

01-18 鎌倉
高山寺・善妙神立像
像高31.4cm、・切金文様、彩色仕上
げ。鮮やかな彩色がよく残る。 白光
神像とともに、湛慶の作と推定。 善
妙神は、華厳宗における守護神。


東京博物館


東京博物館
1872年の創設で日本最古の博物
館。 本館 表慶館 東洋館 平成館
法隆寺宝物館の5つの展示館から
なる。その他、管理施設がある。

東京博物館正面
国宝89件、重要文化財 646件を含
む総数は12万件。 国宝52件、重要
文化財 245件を含む多数の寄託品
を収蔵している。

01-1 飛鳥
木造菩薩立像
像高93.7cm、金箔押し、彩色仕げ
楠の一材から頭体を彫出す。頭が
大きく体が薄い、装身具が 腰前で
交差する、古代の金銅仏の特徴。

01-2 天平
日光菩薩踏下像
像高56.1cm、木心乾漆造,漆箔仕
上げ。現在の漆箔は後補。 もとは
高山寺薬師如来の脇侍。右方へ首
を傾け、左脚を踏み下げる左脇侍。

01-3 天平
日光菩薩踏下像(2)
整った顔だちや自然な肉どり
衣文表現などに天平末期の最
も正統な作品群に連なる。
月光菩薩は 東京芸大が保管。

01-4 平安中期
天王立像
像高163.5cm、漆箔、彩色仕上げ。カ
ツラ材一木造。頭体を縦一材で
造り、体部背面に内刳りをほどこ
す。

01-5 平安中期
天王立像(2)
端正な体形や 黒眼を一段高く彫り
あらわす技法に天平彫刻を彷彿さ
せるが、和様成立直前の慶派の作
風をしめす。

01-6 平安後期
国宝:浄瑠璃寺・広目天(1)
像高169.0cm 、檜材の寄木造、漆
箔彩色、截金仕上げ。 当初の彩色
と截金文様が残っている。
浄瑠璃寺:持国天・増長天

01-7 平安後期
国宝:浄瑠璃寺・広目天(2)
左手で三叉戟を(後補)支え 右手で
羂索を持つ。 大きな朝顔花弁型の
鰭袖を上腕につける。
京都博物館:多聞天

01-8 平安後期
中川寺・毘沙門天
 像高は102cm、木造 漆箔 彩色
 切金文様、玉眼の早い例。像内
 には 110枚の毘沙門天の印仏が
 残される。

01-9 平安後期
中川寺・毘沙門天(2)
温和な顔立ちは 定朝仏に通ずる
中川寺は1112年頃に創設。室町
末期には大寺院であったが 火災
により衰退、明治に廃寺となった。

01-10 平安後期
不動明王
像高165.2cm、桧材の割矧ぎ造り
彩色仕上げ。形相は青黒く邪悪で
眼を怒らし、左は 半眼、額に水波
の相、右牙を上、左牙を外に出す。

01-11 平安後期
不動明王(2)
細い手足と穏やかな表現は 平安
後期の彫刻の特色をよく示す。当
初は彫眼であったが、後に水晶を
はめる玉眼に作り直す。

01-12 平安後期
大日如来坐像  
像高93.9cm、桧材の寄木造り。
表面に金箔を貼り、顔や髪に彩
色。丸顔、伏し眼、小唇、起伏の
ない肉どり、浅い衣文に特色。

01-13 平安後期
浄瑠璃寺・地蔵菩薩
像高 97.0cm、木造・彩色・截金仕
上げ。 口唇や衣文に彩色や截金
が 良く残る。蓮華座から伸びた蓮
が後頭部で花開き、円光背となる。

01-14 鎌倉
十二神将
浄瑠璃寺伝来。東京博物館が5体
静嘉堂文庫が7体を所蔵。像高75
cm前後、ヒノキ材寄木造、割矧ぎ
造、截金、玉眼嵌入、彩色仕上げ。

01-15 鎌倉
十二神将(2)
リアルな表情で軽快な運動感は鎌
倉彫刻の特徴。 奥行を感じさせる
体の動き、 整った形は、鎌倉期の
彫刻表現。彩色も 鮮やかに残る。

01-16 鎌倉
菩薩立像
像高106.3cm、 切金、玉眼、金泥
塗り。上下の唇に彩色の上に薄い
水晶板をあてる現存唯一 の作例。

01-17 鎌倉
菩薩立像(2)
肉身を金泥塗り、裙の表は朱彩の
上に截金の麻葉繋ぎの地文をおく
天衣は表裏とも彩色地に截金文様
をほどこす。

01-18 鎌倉
文殊菩薩騎獅子像
総高193.7cm、金泥塗り、切金、玉
眼、彩色仕上げ。 獅子の銘文と体
内の文書から1273年康円の作品、
興福寺勧学院の本尊と判明。

01-19 鎌倉
文殊菩薩騎獅子像(2)
文殊菩薩は 髻を5つ結う形で少年
の容姿で造る。渡海文殊の別名が
あるように 台座の框の上面に海の
波が描かれている。

01-23 鎌倉
愛染明王
像高64.0cm、切金、玉眼、彩色仕
上げ。左肩にかける条帛、下半身
に着ける裙には、截金による文様
が残る。

01-20 鎌倉
東方天(持国天)眷属
像高・東方天眷属31.9 cm、南方
天眷属32.1cm。玉眼 、彩色仕上
げ。 四天王に 従って仏法を護持
する下級の天部像で卑俗な姿。

01-24 平安後期
国宝:西新井大師・刻画蔵王権現像
縦67.0cm、横76.3cm、銅鏡の表面
に線刻。吉野の金峰山で出土したも
ので明治期に西新井大師に寄進さ
れた。下部を破損。

01-21 鎌倉
南方天(増長天)眷属(2)
内山永久寺(廃寺)に伝来。一具
をなす西方天眷属は静嘉堂文庫
北方天眷属は、MOA美術館が保
管。銘文で1267年康円の作品。

01-22 鎌倉
阿弥陀如来
像高96.9cm、切金、玉眼 、金泥塗
り仕上げ。衣には截金がよく残って
いる。来迎印を結び、前傾して左脚
を前へ出し死者を迎える姿を表現。 

法隆寺宝物館
 1878年に法隆寺から皇室に献納さ
 れ国に移管された49件(57体)の金
 銅仏(四十八体仏)を中心に 300余
 件を収蔵展示している。 東博の構
 内に併設されている。

法隆寺宝物館内部
四十八体仏は像高30cmから40cm
と小さいながら像彫刻のまとまった
貴重なコレクション。 大部分7世紀
の製作で渡来仏も含まれる。

02-1 飛鳥
一光三尊仏143号(1)
 像高は中尊28.7cm、脇侍20.5cm
 渡来の善光寺式三尊像。 光背は
 唐草に化仏を配し、火焔を描く。

02-2 飛鳥
一光三尊仏・中尊143号(2)
 中尊は通肩渦巻き頭髪、左手刀
 印、 右手施無畏印。法隆寺金銅
 釈迦三尊と同じ様式である。

02-3 飛鳥
一光三尊仏・脇侍143号(3)
菩薩は頭に大きな冠をかぶり、両手
は胸の前で合わせて衣の下に隠す。
日本の仏像にない特色。

02-4 飛鳥
阿弥陀三尊像144号(1)
 像高は中尊28.4cm、脇侍21cm。
 台座の刻銘 (山田殿像)から蘇我
 倉山田石川麻呂や山田寺との間
 連が覗われる。

02-5 飛鳥
阿弥陀三尊・中尊144号(2)
中尊の倚像は数少なく、深大寺釈
迦如来像 法隆寺塔本塑像の弥勒
如来像などがある。

02-6 飛鳥
阿弥陀三尊・脇侍144号(3)
脇侍の頭部に観音を示す化仏と勢
至を示す水nがあり阿弥陀三尊像
としては最古の作例。

02-7 飛鳥
菩薩半跏像156号(1)
 頭部には三面宝冠を戴き、肩に
 垂髪を表す。台座内部は空洞だ
 が、像本体はムク鋳造。

02-8 飛鳥
菩薩半跏像156号(2)
像高39.0p、 右手を軽く頬に当て
左脚を踏み下げる半跏像。 体に
比して頭部が大きく胴を細く作る。

02-9 飛鳥
如来坐像145号(1)
 像高30.8p、左右対称、正面観
 照性等から法隆寺金堂 釈迦三
 尊の中尊を思い起こさせる。

02-10 飛鳥
如来坐像145号(2)
 法隆寺金堂中尊に 比べ顔の表情
 は穏やかで、頭髪や懸裳のデザイ
 ンも異なる。止利派の幅を示す。

02-11 飛鳥
如来立像151号
 像高33.4p、通肩の衣が 左右に広
 がり、裾の内側から足首を出す。頭
 部が小さく長身に見える。

02-12 飛鳥
菩薩半跏像158号
 像高20.5p、胴や腕を極端に絞り
 台座に掛かる裳なども特異な造形
 で渡来系像である。

02-13 白鳳
菩薩半跏像157号
 像高24.9p、台座全体が野中寺の
 像の台座と類似するが、 頭体のバ
 ランスが整い、顔立ちも穏やか。

02-14 白鳳
菩薩半跏像159号
 像高22.9p、目が二重瞼の童顔
 三面頭飾を頂き台座に半跏する。
 体部や台座は連珠文を装飾する。

02-15 白鳳
菩薩立像165号
像高 22.4p宝珠と三日月状山形宝
冠を戴く。 冠帯を垂らし天衣は左右
相称で鰭状。

02-16 白鳳
菩薩立像166号
 像高 23.1p、宝冠を戴き、蕨手
 状の垂髪。 鰭状の天衣が 真直
 ぐに垂れる。宝玉を両手で握る。

02-17 白鳳
観音菩薩176号
像高29.3cm、銅製鍍金仕上げ。三
面頭飾の正面に化仏を、右手に小
珠をもつ観音像。体にくらべて手足
が大きく,二重瞼、童子形を示す。

02-18 白鳳
観音菩薩182号
像高30.9cm、銅製鍍金仕上げ。右
手を胸前にそえ、 頭飾に阿弥陀の
化仏を付ける。 膝上の天衣に一花
を置く様式は白鳳の像にみられる。

02-19 白鳳
観音菩薩183号
像高31.4cm、銅製鍍金仕上げ。 三
面頭飾をつけ,正面にX状の瓔珞を
懸ける。幅の広い顔立ちには、白鳳
期の穏やかな雰囲気がある。

02-20 白鳳
摩耶夫人及び天人像
摩耶夫人16.5cm、天人像12cm前
後、銅製鍍金仕上げ。庭園を散策
中、木の枝に右 手を伸ばしたとこ
ろ、腋から釈迦が生まれる。

02-21 白鳳
摩耶夫人及び天人像(2)
立体的な群像としては希有の作例。面貌や骨太い体躯には飛鳥の古様
がうかがえ,衣文の表現も独特のう
ねりと鋭さが認められる。


九州博物館

九州博物館 太宰府市石坂
文化の形成をアジア史的観点から捉える新しい視点で、全国で4番目に誕生した国立博物館。古くからアジア諸国との交易の要となってきた九州ならではの貴重な資料を展示する。

01-1 平安前期
聖観音立像
像高153.5cm、カヤの一材から丸彫
り、彩色仕上げ。肩が張った、豊か
な量感や刀法に優れた特色が表れ
る。京都市清和院の伝来。

01-2 平安中期
聖観音立像
像高160.9cm、カヤの一材から丸彫
り、彩色仕上げ。個性的な目鼻立ち
や重厚な量感表現に特色。 板光背
は畿内地方の標準的な作風を示す。

01-3 平安後期
阿弥陀如来立像
像高96.7cm、木造 漆箔仕上げ。3
尺の像は平安期に遡る作例は少な
い。温和な表情、浅く流れる衣文線
に定朝様式。亀岡市元明院に伝来。


文化庁

文化庁・京都市上京区藪之内町
(1) 仏像買取
文化庁買取保管の文化財は 国立
博物館・国立美術館に貸与して適
宜公開する。2003年以降は毎年1
回、各地の博物館・美術館でまと
めて展示開催している。 現在、文
化庁が、購入した仏像のうち18件
が 国の重要文化財に指定されて
いる。購入価格は1件2億から5億
円になる。

(2) 文化遺産オンライン
全国の博物館・美術館等から提供
された作品や 国宝・重要文化財な
ど、さまざまな 文化遺産の情報を
提供する文化遺産オンラインを運
営する。

01-1 天平
虚空蔵菩薩像
像高 51. 5 p、木心乾漆造、彩色、
仕上げ。日本最古の虚空蔵菩薩像、
鎌倉期修理の彩色が細かく残る。
奈良・額安寺旧蔵 。


01-2 平安前期
普賢菩薩像
像高56.4cm、榧材の一木造、一部
漆箔、彩色仕上げ。内刳りを施さな
い。厚みと張りのある体形、深く鋭い
衣文などが顕著。奈良円證寺旧蔵。

01-3 平安後期
文殊菩薩像
像高56.0cm、寄木造,漆箔仕上げ。
繊細化した作風は院政期の定朝様。
右臂先が後補となる以外は 製作当
初のもの。奈良円證寺旧蔵。

01-4 平安中期
奈良博寄託・聖観音立像
像高190.0cm、彩色仕上げ。桂材の
一木造。高く結い上げた髻、 浅いが
鎬立った衣文線、抑揚のある肉付け
に特色を示す。奈良不退寺伝来。


01-5 平安中期
准胝観音像
像高111.5cm、彩色仕上げ。指定名
称は千手観音像となっているが、本
来の仏名は准胝観音とみられる。
新薬師寺ほか旧蔵。

01-6 平安中期
天王像
像高178.4cm、彩色仕上げ。顔全面
に目口鼻を配し、動的で迫力十分な
平安古像。京都大宮神社に伝来した
10躯の平安古仏のうちの一体。

01-7 平安中期
観音菩薩像
像高113.4cm、漆箔、彩色仕上げ。
筒形の冠や,下ぶくれで伏し目の顔
つき、翻波式を残し 浅く整える衣文
線に特徴。奈良・伝香寺ほか旧蔵。

01-8 平安中期
不動明王坐像
像高81.3cm、彩色仕上げ。大振りの
目鼻立ち、幅広で厚みのある体形、
腰布の翻波式衣文は古様だが、造
形は穏やか。京都般舟院ほか旧蔵。


01-9 平安中期
四天王像
像高 95.9 〜 101.8cm、彩色仕上
げ。眉頭を上げ大きな魚目で睨む。
ほぼ直立姿勢で裳裾なども 軽く垂
れ動きが少ない。滋賀冷泉寺旧蔵。

01-10 平安後期
雲中供養菩薩像
総高57.2cm、彩色仕上げ。 僧侶の
姿で雲にのる。浮彫り的な技法を用
いる。平等院鳳凰堂の壁に貼った雲
中供養菩薩像52体の一つが伝来。

01-11 平安中期
文殊菩薩像
像高31.7cm、彩色仕上げ。 頭体部
は、一材から彫出す。衣文の彫りに
力強さがある。 彩色は剥落するが、
後補部分は少ない。額安寺伝来。

01-12 平安後期
不動明王立像
像高93.6cm、針葉樹の一木造、前後
に割矧ぎ、内刳り、彩色仕上げ。小さ
い頭部、怒りを抑えた表情 浅い衣文
線に特色。福井・大谷寺旧蔵。


01-13 平安後期
倭迹々日百襲姫命像
(やまとととひももそひめのみこと)
像高60.0cm、桧材の一木造、彩色を
施す。全体は簡潔な彫り口とし 下半
身を省略的。香川・水主神社伝来。

01-14 平安後期
阿弥陀如来像 1 ?
像高142.0cm、漆箔仕上げ。大振り
な目鼻立ち素朴な彫りが特徴。像内
の銘文から、丹波の有力者が息災安
産を祈願し制作。京都長楽寺伝来。

01-15 平安中期
四天王像
像高113.2〜 117.4p、彩色仕上げ。
四体全てが甲を被る作像は珍しい。頭部は小さく、甲冑衣装は丁寧に彫
り込まれている。個人旧蔵。

01-16 鎌倉
釈迦如来像
像高97.0cm、彩色仕上げ。清凉寺の
釈迦如来像の模刻。原像の姿を忠実
に写し、優美な造形に仕立てる。
京都常楽院ほか旧蔵。


01-17 鎌倉
銅造薬師如来像
像高14.1cm、像形は 光背に七体の
化仏を配した 新薬師寺の薬師如来
像と一致し、同像の縮小模像と考え
られる。興福寺伝来。

01-18 南北朝
大黒天像
像高55.7cm、彩色 、玉眼仕上げ。
後に一般的になる短足で俵にのる像
容ながら笑みを浮かべない点に過渡
期的な様相を示す。東大寺伝来。

01-19 室町
泰澄・浄定行者(きよさだ)
(ふせ) 行者像
像高:泰澄55.7cm、浄定28.2cm、臥
26.2cm、彩色、玉眼、仕上げ。 室町
期の肖像彫刻。福井大谷寺旧蔵。



美術館
@NYメトロポリタン美術館・Aボストン美術館・B根津美術館・CMOA美術館
D上原美術館・E東芸大美術館・Fかんなみ仏の里・G藤田美術館・H福岡市美術館

NYメトロポリタン美術館
世界的な名声を持つ美術館。建物自
体も評価が高い。展示品の種類は豊
富で日本の美術品では、戦国時代の
武器や甲冑、日本刀、屏風、浮世絵
仏像などがある。

01-1 平安後期
蔵王権現
像高37.5 cm、 青銅に金メッキを
施した金銅に装飾彫刻。 右手に
掲げた三鈷杵が 欠損しているが
流れるような優美な線と躍動感。

01-2 鎌倉
不動明王
像高53.3 cm、檜の寄木造。 截金
玉眼嵌入、金箔仕上げ。威圧的な
顔面で下唇を噛み、束ねた髪を肩
に垂らす。青蓮院伝来の快慶作品。

01-3 鎌倉
地蔵菩薩
像高55.9 cm、檜材の寄木造、漆
箔・切金紋様・玉眼嵌入。 袈裟の
流れるライン模様が見事。快慶の
初期の作品で表情が若々しい。

ボストン美術館
フェノロサ、モースなど日本美術の再発見に貢献した人たちが日本で収集して持ち帰った 第一級の美術品を多数収蔵。仏像の展示室は特別に造られた寺院建築になっている。

02-1 平安後期
大日如来坐像
像高109cm、檜材の一木割り矧ぎ
造。定朝様式の菩薩形姿で胸前で
智拳印を結ぶ。

02-2 鎌倉
弥勒菩薩立像
像高107cm、寄木造、内刳、玉眼
嵌入 漆箔仕上げ。切れ上がった
目じり、小さめの口 に快慶特有
の端正な表情。快慶初期の作品

02-3鎌倉
弥勒菩薩立像 (2)
右手は 垂下して全指を伸ばし、左
手に水nを握る。水nの中には弥
勒の持物である五輪塔をのせた蓮
華一茎を挿す。

根津美術館
東武鉄道の社長を務めた 根津嘉一郎が蒐集した日本・東洋の古美術品を保存展示する。保有美術品は約7600件 、国宝7件、重要文化財91件重要美術品95件が含まれる。


03-1 平安後期
地蔵菩薩:
像高約160cm、桧材を用いた割矧
造。錆下地黒漆塗、彩色仕上げ。
像内に1147年の造立銘があり、平
安後期の基準作例である。

03-2 鎌倉
帝釈天
頭部は後補。重量感がある骨太な
体部や、中国風の衣装や装飾を取
り入れた写実性は初期慶派定慶の
作品。 興福寺の梵天と一具。

 MOA美術館
1982年に開館。世界救世教の教祖
岡田茂吉の収集品を中心に国宝3
点、重要文化財67点、重要美術品
46点を含む東洋美術の絵画・書跡
工芸品約3500点を収蔵する。

04-1 天平
聖観音菩薩
像高89.2p、一木彫り、白檀造、金
彩仕上げ。頭部三面宝冠の正面に
毛仏を付ける。左手に蓮華の蕾 右
手の先は首から下がる瓔珞を執る。

04-2 鎌倉
阿弥陀如来
像高78.5p、木造、金泥塗仕上げ。
来迎印を結び 雲上の蓮華座に立
って極楽浄土より来迎する姿を表
す。

04-3 鎌倉
北方天眷属像
像高32.3p、木造彩色、金泥文様。
服装にはリアルな表現。
東方、南方天眷属は東京博物館
西方天は静嘉堂文庫が保管。

上原美術館
大正製薬 の上原正吉の寄付によ
る平安、鎌倉時代の仏像から、奈
良時代の古写経、 近現代の仏像
まで幅広い仏教美術を収蔵してい
る。

05-1 平安中期
十一面観音
像高52.2cm、頭部から台座の一
部までサクラ材一木から彫出す。
内刳はない。古様の厳しい表現が
温和な和様へと向かう過渡期。

05-2 鎌倉
大日如来
像高 30.9cm、桧の一材で彫出し、
頭体部を耳の後ろから前後に割
矧ぐ。玉眼嵌入。法界定印 の大
日如来像は遺例が少ない。

東芸大美術館
1998年に近代的な美術館が新築さ
れた。 東京美術学校設置前から収
集された古美術を含め教官や学生
の卒業作品、文部省買上げ美術品
など2万9千件以上を収蔵。

06 天平
月光菩薩坐像
像高約56cm、木心乾漆造、漆箔
仕上げ。胸から腹部までの胴体が
欠損。 東京博物館の日光菩薩
像と一具。

かんなみ仏の里美術館
町民たちが守ってきた平安、鎌倉
期の作像を含む 24体の仏像群を
保存継承し、多くの人々が鑑賞し
学ぶことができる施設として2012
年に設立。

07-1 鎌倉
阿弥陀三尊中尊
像高約90cm、檜材の一木割矧造
玉眼嵌入。 来迎印を結ぶ写実的
で力強い表現は 鎌倉時代初期の
慶派の特色。

07-2 鎌倉
両脇侍像:像高約110cm、本尊と
同じヒノキの割矧ぎ造、玉眼嵌入。
腰をひねり、踏み出した側の足で
は衣は膝下で弧を重ね 他方の足
は衣が縦に流れる。

藤田美術館 大阪市都島区網島町
1954年に大阪に開館。同和鉱業、大成建設、藤田観光等の創立者、藤田傳三郎の収集品を保管展示する。国宝9件、重要文化財53件を含む日本・東洋美術品を所蔵する。

08-1 鎌倉
地蔵菩薩立像
像高58.9cm 桧材の寄木造。彩色・載金仕上げ。彩色・截金文様も制作当初のもので、繊細かつ優美な快慶晩年の作品。

福岡市美術館 福岡市中央区
青木繁など郷土出身の作品及びミロやダリをはじめとする名品を含む約16,000点を収集・保存している。1階には東光院寄贈仏像を展示する東光院仏教美術室が設置されている。

09-1 平安後期
薬師如来坐像
像高88cm、檜の一材から頭体部をつくり、前後二材に割矧して、内刳がなされる。古様な顔・低い膝・穏やかな彫法から平安後期の様式。

09-2 平安後期
薬師如来立像
像高198cm、桧材の寄木造、彫眼。体形は堂々として迫力があるが、体の厚みは意外に薄く、衣のひだや太ももの量感も控えめである

09-3 平安後期
十二神将立像 9躯 (1)
像高70cm前後、桧材の寄木造、彫眼。変化に富み、手堅い作りである。忿怒の表情ながら顔つきはユーモラスであり、体勢もゆったりとしている。

09-4 平安後期
十二神将立像(2)
十二支を頭上に載せた姿で表され
ることもある。鎧と武器を身につけ
それぞ れに個性的な表情や姿勢
をみせる。

09-5 平安後期
十二神将立像(3)
全体的には平安時代の都の貴族たちが好んだ穏やかな造形を志向している。模様を筆で描かずに彫刻で表すのは、九州の作例以外にはない。

09-6 鎌倉
日光菩薩立像
像高63.7cm、桧材の寄木造、玉眼
嵌入、漆箔仕上げ。裳の動きは複
雑にからみあい、鎌倉時代の典型
的な作風を示す。

09/7 鎌倉
阿弥陀如来立像
像高98cm、檜材の寄木造、玉眼嵌入。頭体部は前後に矧ぎ内刳する。来迎相の阿弥陀である。平安後期の定朝様を受け継いだ鎌倉初期の像。

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