基本 | 通肩 | 師が弟子に説法するとき、あるいは托鉢、座禅の時に用いるの着衣方式。 通肩は福田の相を示す、と言われる。福田は、善い行いの種をまいて、功徳と言う 収穫を得る田を意味する。 通肩という着方は如来の着衣の基本であるが、像例があまり多くない。宝冠阿弥陀 像など特別な像で見られるが、一般の仏像ではあまり例がない。 |
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偏袒右肩 | 右肩はあらわに出し、衣は右の腋の下を通って体に巻く。弟子が師に奉仕する時や 釈迦や目上の仏弟子に相対するときの作法で、右肩を出す。 偏袒右肩の変形ではあるが右肩にわずかに衣を残して右腕や右胸を出している仏像 例は多い。 |
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種類 | 袈裟 | インドの仏教僧団で,不用になったり,捨てられた長短の布片を縫い合わせ僧尼の 着衣としたものを袈裟と称した。 布を縦に継いだものを条と言い、これを横につなぐ条数で3種に分かれる。 1) 五条(小衣)普段着、 2) 七条(中衣:190cmx110cm)外出着 3) 九条以上(大衣)礼装。 |
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僧祇支 (覆肩衣、覆腋衣) |
袈裟の下に着る肌着である。袈裟と縦はほぼ同大の長方形(160x100cm)の衣である が、横の長さは体をぐるりと巻く袈裟よりは小さい。 袈裟と同様に周囲に縁をめぐらし四隅には額を施し、縁の内側に二本の「紐」を付け た粗末な衣である。背中から体を覆って、体の前で合わせる。偏袒右肩のように右肩 を露わにし右腋下を掩った場合は覆腋衣と言い、マントのように左右両肩を覆った場合 は覆肩衣と言う。法隆寺金堂釈迦如来は僧祇支を前で結ぶ紐が見えている。 |
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偏衫 (褊衫) |
中国で考案された法衣で僧祗支を発展させたもの。丸首シャツの首の部分を左肩から 右腋の下にかけて斜めに裁断したような形状の肌着。身体に密着するような着衣のため、 ほとんどひだがない。 袈裟を偏袒右肩に着て大きく胸を開けた仏像で、腹部に斜めに薄い衣のようなものが 見える。 肩からつっている薄い布であるので、僧祇支と違って細かな襞を表現することは基本的 にない。 |
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着法 | @ 裙+袈裟 | 像数:最も多く分布する。 作例:深大寺釈迦如来、興福 寺国宝館迦旃延、平等院阿 弥 陀仏如来 |
1) 裙を着用し、袈裟を右脇から正面、左腕を覆い、左肩に掛
3) 背面に廻した袈裟は背面を覆い、上方を右脇下にくぐら
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A 裙+僧祇支+
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像数:@に次いで数が多い。 作例:岡寺義淵僧正、 清涼 寺釈迦如来、 東大寺俊乗堂 阿弥陀如来 |
1) 下衣に腰巻風の裙を着ける。 2) 内衣に僧祇支をまとう。 3) 2)の背面。 4) 僧祇支の上に袈裟を掛ける。袈裟は右腋下から正面、左手
6) 4)の右側面。袈裟は僧祇支の右脇下をくぐらす。 7) 正面に巡らせた二巡目の濃い色の袈裟は、左肩・左上腕を覆
9) 7)の背面。濃い色の袈裟が左肩から背面に垂下する。 ※左肩は袈裟と僧祇支2枚に覆われている。袈裟は右の肩は 覆わずに右の脇の下をくぐる。右腕を覆う僧祇支は、いったん 袈裟の下になるが、そこからたぐり出されて右腕を覆う。左の 肩と左腕は2枚の布に覆われるが、右の肩と腕は僧祇支だけで 覆われる。背面をみると上の衣である袈裟の線が、左肩から右 の腋の下へと斜めに刻出されており、そこから上(右肩)は 僧祇支が出ている。 |
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B 裙+右偏衫 +
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像数:あまり多くない。 作例:薬師寺金堂薬師如来 |
1) 下衣の前合わせの裙と、右偏衫を着る。 2) 袈裟を右腋下から右偏衫の上に掛ける。腹前に右偏衫が
4) 背面に廻した袈裟は上部を引っ張り上げ一部を右肩に掛け、
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C 裙+右偏衫+
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像数:極めて少ない。 作例:法隆寺金堂釈迦如来、 東大寺公慶堂地蔵菩薩、 浄土寺阿弥陀如来 |