(7) 十二神将



十二神将
  それぞれ7千 総計8万4千の眷属
  夜叉を率いて 薬師如来の十二誓
  願を背負い薬師如来 及びそれを
  信仰する人々を守る。
新薬師寺
  天平時代の塑像で有名な新薬師寺
  の国宝十二神将は国指定と新薬師
  寺伝来の名称が、異なる(同名4像、
  異名8像)。
作例:
  興福寺国宝館、広隆寺、新薬師寺、
  室生寺

1) 因達羅 (1) 持物:右手戟・左手腰
(2) 頭上:兜
1) インドのヒンドゥー教において重要な神様の一柱である雷神インドラが由来。
  別名は帝釈天。

2) 珊底羅大将と同じく戟を持っている。

3) 薬師誓願は「諸根具足」 貧窮多苦の人々も含め、全ての衆生の身体上の障害
  をなくすこと。
2) 安底羅 (1) 持物:両手払子
(2) 頭上:兜
1) インド神話のアンディーラが由来。男の力強さを意味する。 別名を安陀羅とも言う。

2) 宝鎚と呼ばれる武器を持つのが特徴。新薬師寺の安底羅は両手に馬の尾などを
  束ねた払子を持つ。

3) 薬師誓願は「安立正見」 心の中の余計な感情を取り去り、健全な精神を得るため
  の助けとなる。
3) 迷企羅 (1) 姿形:右手腰 ・左手掲
(2) 面相:開口
1) インド神話のミトラ、太陽を意味する。

2) 逆立った怒髪と、宝棒を持つのが特徴。

3) 薬師誓願は「苦悩解脱」降りかかる災難や苦悩から、人々を解放する。
4) 珊底羅 (1) 持物:右手戟・左手腰 1) バラモン教の神シャンディラが由来。

2) 戟と呼ばれる中国の古い武器か、戦いの合図を鳴らす法螺貝を持つ。

3) 薬師誓願は「除病安楽」 全ての人々の病気や苦しみを取り除き、安楽を与える。
5) 真達羅 (1) 持物:右手宝珠・
 左手宝棒
1) インド神話の音楽の神キンナラが由来とされる。緊那羅とも呼ばれる。

2) 新薬師寺の像では宝棒と、人々の願いを叶えると言われる宝珠を持つ。

3) 薬師誓願は「施無尽仏」 人々の願いを叶え、必要なものを手に入れられ
  るよう無尽の施しをする。
6) 招杜羅 (1) 持物:右手平前
 左手小太刀下段
1) 梵名チャトゥラは聡明、慎重などの意味がある。

2) 太刀を手に持つ。

3) 薬師誓願は「随意成弁」人々の善行を助け、悟りの境地に導く。
7) 宮毘羅 (1) 持物:右手太刀中段 ・
 左手腹
(2) 面相:開口
1) 十二神将の筆頭で、元々はガンジス川の鰐を神格化したヒンドゥー教の
  クンビーラが由来とされる。

2) 一般的には海上交通の守り神の金毘羅大権現 として親しまれている。
  右手に太刀を持つ。

3) 薬師誓願は 「美衣満足」 全ての人々に満足する衣服を与え、心を慰める
  衣服安泰とする。
8) 摩虎羅 (1) 持物:右手下斧・左手腰 1) 古代インドの偉大な蛇を意味するマホーラガ神が由来とされる。

2) 大威徳明王の化身として描かれ 武器に斧を持つ。

3) 薬師誓願は「安立大乗」衆生を大乗仏教の正しい教えに導き、悟りを開くこと
  を助ける。
9) 毘羯羅 (1) 持物:右手上三鈷杵・
 左手腰
1) ヒンドゥー教のシヴァ神の后で 戦いの女神ヴィカラーラが由来となる。「近づき
  がたいもの」という意味を持ち、インド神話では阿修羅の由来となる魔族と戦う。

2) 密教の法具とされる両端が三股に分かれた三鈷杵を持つ。

3) 薬師誓願は「光明善照」衆生の善行を助けて苦悩を解く。
10) 波夷羅 (1) 持物:両手弓矢
(2) 頭上:兜
1) インドのパジラ/パジュラが由来。梵名パジュラは「強い」、「頑丈な」と言う
  意味を持つ。

2) 短剣や弓矢を手に持つことが多い。

3) 薬師誓願は「具戒清浄」衆生を日々精進させて善行を促す。
11) あに羅 (1) 持物:両手矢
(2) 頭上:兜
1) インドの風の神ヴァーユが由来。

2) 他の神将と違い武器に矢を持つ。新薬師寺の額爾羅大将は、弓を持たず矢
  だけを見つめる。

3) 薬師誓願は「転女得仏」女性であることの修行上の不利益を取り除く。
12) 伐折羅 (1) 持物:右手下太刀・
 左手下
(2) 面相:開口
(2) 姿形:草履を履く
1) ダイヤモンドを意味し強固な力を象徴する。七億の夜叉をひきつれ仏法を守護
  する夜叉王。

2) 草履を履き、手には宝剣を持つ。

3) 薬師誓願は「飲食安楽」 衆生の食事にまつわる苦悩を取り除き、飢えや乾きの
  ない健全な食を与える。

(8) 二十八部衆
 


二十八部衆:
  天部、竜王、夜叉等から成る28神で千手観音
  の眷属として千手観音陀羅尼を唱える者を保
  護し功徳を与える。
作例:
 三十三間堂(鎌倉)、常楽寺(鎌倉)、清水寺(江戸)
 蓮華王院本堂(三十三間堂)のものが最も有名で
 風神雷神を加え30部衆となる。
天部10体
夜叉6体
鬼神5体
竜王4体
仁王2体
@毘楼勒叉天
(増長天)
A毘楼博叉天
(広目天)
B毘沙門天
(多聞天)
C提頭頼た王
(持国天)
D大梵天
E帝釈天 
F薩遮摩和羅
G五部浄居天
H吉祥天
(大弁功徳天)
I神母女
@摩尼跋陀羅 
A満善車鉢 
B散支大将
C畢婆迦羅 
D金毘羅
(十二神将)
E毘舎闍
@阿修羅
A迦楼羅 
B緊那羅 
C乾闥婆 
D婆藪仙人
@難陀竜王 
A娑伽羅竜王 
B摩ご羅伽 
C伊鉢羅
@那羅延堅固王 
A密迹金剛力士
明王1体
@金色孔雀明王

1) 那羅延堅固王 (1) 面相:阿形
(2) 姿形:上半身裸
(3) 印相:左手拳上 ・
  右手掌前方
1) 密迹金剛力士と一対になっており仏敵を防ぐ守護神。

2) 那羅延とはヒンドゥー教の神ヴィシュヌの異名。仏教に取り入れられ護法
  善神となる。

3) 口を開いた阿形で 、筋骨隆々とした上半身裸形で、両手を上下に張り大
  力を示し怒りを顕わにする。
2) 密迹金剛力士 (1) 面相:吽形
(2) 姿形:上半身裸
(3) 印相:左手拳腰 ・
  右肘曲掌外
1) 那羅延堅固王と山門守る仁王の一体。

2) 梵語ではヴァジュラダラと言い、仏に親しく近づいて、仏の秘密の教えを聞
  こうとする。

3) 仏敵を退散させる武器である金剛杵を持つ。

4) 口を結ぶ吽形で、首を左にひねり、右手は腹の高さに上げ掌を開き、左手
  は腰の辺で拳をつくり怒りを内に秘める。
3) 毘楼勒叉天
  (ビルロクシャ)
  ・増長天
(1) 持物:右手三鈷杵 ・
  右手腰
1)梵名 ヴィルーダカの音写で成長あるいは増大した者を意味する。

2) 帝釈天の配下で、須弥山の4方向を護る四天王の1人として南瑠璃タ(みな
  みるりた)に住む。

3) 須弥山をめぐる大海にある南の方角、人間の住む南閻浮提(なんえんぶ
  だい)・[南贍部洲(なんせんぶしゅう)とも言う]を守護する。
4) 満善車鉢 (1) 持物:右手独鈷 ・
  左手掌下
1) 満善車鉢は、夜叉神のプールナバドラとチャガラパーダを1つの尊名にして
  いる。

2) 満善のプールナバドラは別名満賢夜叉で 摩尼跋陀羅(宝賢夜叉)の弟である。
  八大夜叉大将で主にガンダーラ地方で信仰されていた。

3) 車鉢のチャガラパーダは金光明経にある夜叉神で山羊の足を持つ者とある。
5) 毘楼博叉天
  (ビルバクシャ)
  ・広目天
(1) 持物:右手独鈷・
  左手三叉戟 
(2) 三眼
1) 梵名のヴィルーパークシャは特殊な目を有するという意味。千里眼(浄天眼)
  と拡大解釈され、広目天とされた。

2) 帝釈天の配下で、須弥山の4方向を護る四天王の1員として白銀タ(はくぎん
  た)に住み、須弥山をめぐる八海にある4つの大陸のうち西牛貨洲(さいご
  けしゅう)を守護する。
6) 毘沙門天
  ・多聞天
(1) 持物:右手三叉戟・
  左手宝塔
1) 梵名はヴァイシュラヴァナですべてのことを聞きもらさない知恵のある者
  という。

2) 元々暗黒界に住する夜叉鬼神の長であるが仏教に帰依したことにより、
  仏法を守護する善神となる。眷族の悪鬼・羅刹・夜叉などの類も仏教に
  帰依する。

3) 帝釈天の配下の北方の守護神で、須弥山をめぐる大海にある4つの大陸
  のうち北倶盧 (ほっくる)洲を守護する。単独では別名で毘沙門天と言う。
  夫人は吉祥天。

4) 物部氏との戦いで聖徳太子が毘沙門天に戦勝祈願。
7) 大梵天 (1) 持物:右手握る ・
  左手薬壺
1) 世界の創造主、宇宙の根源であるブラフマンが仏教に取り入れられ
  仏法護持の神となる。帝釈天と一対として祀られることが多く、両者
  を併せて「梵釈」と称す。

2) 天界初禅第三天の盟主。

3) 梵天勧請(悟りを経た直後の釈迦に説法を促す)。
8) 帝釈天 (1) 持物:右手鏡 ・
  左手拳腰
1) 元々は、古代インドの神話における天界の軍神インドラのこと。

2) インドラは二頭立ての黄金の戦車や象に乗り、金剛杵という武器をとって
  干ばつを引き起こす毒龍ヴリトラや強力な阿修羅の軍と戦い退けた。
  夫人は阿修羅の娘舎脂。

3) 雨を降らして地上に恵みを与え、大地を潤す豊穣神としても崇拝されている。

4) 須弥山上にある刀利天の主として善見城をかまえ、四天王を配下にして
  地界を支配する。
9) 提頭頼た王
  (ダイズラタオウ)
  ・持国天
(1) 持物:右手太刀下・
  左手小刀横
1) 梵名はドゥリタラーシュトラで国を支える者・国を治める者の意味を持ち、国家
  安泰の功徳がある。別名は持国天。

2) インド神話に登場する雷神インドラ(帝釈天)の配下で、後に仏教に守護神とし
  て取り入れられた。

3) 仏の住む世界を支える須弥山の4方向を護る四天王の1人として東面の中腹
  である 第四層の賢上城に住む。

4) 須弥山をめぐる大海にある4つの大陸のうち東勝身洲を守護する。東方の
  守護神であることから東方天とも呼ばれる。
10) 薩遮摩和羅
  (サシャマワラ)
  ・大自在天
(1) 姿形:上半身裸
(2) 持物:左手杖上鳩、
  右手掌
1) 梵語のマヘーシュバ ラの音写になる。ヒンズー教のシヴァ神であり、大自在天、
  魔藍首羅王とも言う。

2) ヴェーダ神話には、ルドラとし て登場し、暴風、雷雲、医療を司る神になる。

2) 仏教では色界最上の浄居天に住み 三千世界の主として 一切衆生の願望
  を成就させる。
11) 沙伽羅龍王
  (シャガラ)
(1) 頭上:蛇五匹
(2) 持物:右手三鈷剣・
  左手蛇
1) 梵名サーガラの音写。娑伽羅は大海・龍宮の王・大海龍王を意味する。

2) 仏教を護法する八大竜王の一尊で海や雨を司どる。三女善女龍王は牛頭
  天王の后になる。

3) 空海の神泉苑での雨乞祈祷では沙伽羅龍王の王女善女龍王を勧請し雨
  を降らす。京都醍醐寺の守護神 清瀧権現も善女龍王とされる。
12) 難陀竜王 (1) 持物:右手宝珠・
  左手竜尾
(2) 頭上:9匹龍
1) 八大龍王の中でも筆頭で弟は跋難陀竜王。

2) 密教の雨乞いの法会(請雨経法)の時に拝まれる善き龍神である。

3) 難陀とは歓喜の意味、武将の姿が多いが道教服も着る。
13) 伊鉢羅
  (イハツラ)
(1) 持物:右手槌・
  左手蛇
1) インド神話に起源を持つナーガと呼ばれるコブラを神格化した龍王。梵名
  のエーラパトラを伊鉢羅と音写。

2) 左手の蛇形は、龍衆のシンボルで 右手の槌(音)は、巨富による復興や
  殖産のシンボル。

3) 蛇形も、中国で龍(水)神となり、富財、豊穣、風雨、護法の象徴。
14) 摩尼跋陀羅
  (マ二バダラ)
(1) 頭上:火焔冠
(2) 持物:右手曲独鈷杵
  左手拳腰
1) インド神話に出てくる夜叉神で梵名マニ・バトラの音写。毘沙門天に仕え
  八大夜叉大将に数えられる。別名は宝賢夜叉で満善車鉢(満賢夜叉)の兄。

2) 財宝の神クベーラの兄弟で旅行者や商人の守護神。羅刹と北方の守護神。

3) 夜叉の大将で満賢夜叉の兄、多聞天の子と言われる。
15) 散支大将 (1) 持物:右手独鈷杵・
  左手三叉戟
(2) 頭上:火焔冠
1) 毘沙門天(クベーラ)の部下にして八大夜叉大将の一人である。

2) あらゆる生き物の善悪を推し量り守護する神。財宝神でもある。

3) 老人顔縦裂中から忿怒顔が出現する。

4) 婦人は鬼子母神で数百人の子どもを抱えるという。娘は吉祥天。
16) 金色孔雀明王 (1) 持物:右手太刀上 ・
  左手前 
(2) 面相:老人顔の縦裂中
  から忿怒顔
1) 元来はインドの女神マハーマーユーリーで「偉大な孔雀」の意。

2) 孔雀は毒蛇(心毒:貪・嗔・癡)を食いつくし人々を救うことで神格化。

3) また雨期の到来を告げ恵みの雨をもたらす益鳥でもある。
17) 毘舎闍
  (ビシャジャ)
(1) 持物:右手法輪 ・
  左手経巻(失)
1) インドの聖典では、水の妖精アプサラスを妻として、天界のソーマ酒の
  番をする。

2) 酒肉を食べず、香を常食とする夜叉衆で緊那羅王とともに帝釈天に
  仕える音楽神でもある。

3) 東方天に降りてより東方を守護する持国天の眷属になる。
18) 阿修羅 (1) 面臂:三面六臂 1) 元々はインド神話の神であり、戦闘を司る。身体は赤色、または青黒色で、
  怒髪天を突き、裸で忿怒の形相をしている。

2) 阿修羅の娘を強引に奪った力の神・帝釈天に激しい怒りを抱き、何度も
  戦闘を挑んだが、結局敗北する。帝釈天との悲酸な争いを修羅場と言う。

3) 帝釈天との戦いに敗れ天界刀利天を追放されるが、修羅界の盟主となる。
19) 迦楼羅 (1) 持物:横笛 
(2) 姿形:顔面鳥体人間
1) 元々インド神話でビシュヌ神が乗る鳥、金翅鳥(こんじちょう)で、毒蛇(龍)を
  常食とする鳥神である。仏教に取り込まれ、仏法の守護神となる。

2) 龍や蛇を食うように衆生の煩悩を食う神とされ、梵天、大自在天、文殊菩薩
  の化身とされる。

3) 不動明王の背負う焔は、迦楼羅が口から吐く焔、あるいは迦楼羅そのもの
  であるとされ迦楼羅焔という。
20) 乾闥婆
  (ケンダツバ)
(1) 持物:両手太鼓 1) 梵名はガンダルヴァで乾闥婆と音写。インド神話ではインドラに仕え、音楽を
  演奏する半神半獣の神。太陽の炎を象徴する神格を持ち、医薬にも通じている。

2) 神酒ソーマ(神々の飲料・霊薬)を守る。酒や肉を食べず、香を栄養とし、自身
  からも香気を発する。

3) 仏教に帰依後は胎児や幼児を守護し、子供を襲う十五の鬼を捕縛する。
21) 摩ご羅伽 (1) 持物:両手琵琶 1) 帝釈天眷属。梵名はマホーラガ で偉大なる大蛇を意味し、神格化され た。
  身体は人間で首は蛇。ナーガはコブラを、マホーラガはニシキヘビを神格
  化したもの。

2) 漢訳は「大腹行」という。仏法を守護する護法善神の一尊で音楽の神でも
  ある。緊那羅王とともに帝釈天に仕える。
22) 畢婆迦羅
  (ヒバカラ)
  ・毘羯羅
(1) 持物:左手棍棒
  右手下垂らす
1) 梵語でヴィカラーラと言い十二神将の毘羯羅大将と同じ夜叉で須弥山山麓
  の欲界に 住む。

2) もとは大蛇を神格化した竜王で音楽をつかさどる神。

3) 夜叉神であり多くの場合、戟や剣を執った甲冑姿の武神として現される。
23) 金毘羅
 (宮毘羅)
(1) 持物:右手矢 ・
  左手弓

(2) 頭上:兜が外れる
1) 十二神将の筆頭。ガンジス川に棲む鰐を神格化した水神。

2) 仏教に帰依後、海上交通の守り神として金毘羅大権現となる。
24) 五部浄居 (1) 持物:右手下垂らす
 左手肘曲太刀
1) 天部五浄居天の盟主である、礼法や治法を司る仏神。

2) 象の冠を被り宝剣を佩いた偉丈夫の鬼神として現される。
25) 吉祥天
  ・大弁功徳天
(1) 持物:右手金剛剣 ・
  左手宝珠
1) 金光明経鬼神品では弁才天と吉祥天を並べて大弁功徳と呼ぶ。千手
  観音の脇侍に婆藪仙と功徳天(吉祥天)が並ぶ。

2) 弁才天は学問・智彗・財宝・幸福などを司る。梵名はサラスヴァティー
  でヒンドゥー教の川の女神が起源。梵天の妻。

3) 吉祥天はヒンドゥー教の美・富・幸運を司る女神ラクシュミーが仏教に
  取り入れられたもの。母は鬼子母神、夫は毘沙門天。
26) 緊那羅 (1) 頭上・馬頭
(2) 持物:両手銅バッ子
1) 元々はインド神話の神キンナラで、人のようで人ではないことから、
  人非人や疑人と言う。

2) 帝釈天に仕え、乾闥婆と共に音楽を演奏し、舞を舞い、美しい声で
  歌うことから、歌神・楽神と称される。帝釈天の眷属。
27) 婆藪仙人 (1) 持物:右手杖 ・
  左手経巻
1) インド神話では、ヨーガの修行を積んだ苦行者であり、能力(苦行力)を
  体得した超人とされる。吉祥天の兄。

2) 神秘的霊感を持ち 俗界を離れた山林に住み、樹木の皮の粗末な衣を
  まとい、長髪である。

3) 殺生の罪を犯し、生きながら地獄へ堕ちたが華聚菩薩の力によって救
  われ、仏門に入って衆生を救うと誓った。
28) 神母女
  (ジンモ二)
(1) 面相:頭巾を被り長く
  垂れた頭髪
(2) 印相:合掌
1) 元はバラモン教の大地に活気をもたらす 女神プリティヴィであったが、
  後に仏教に取り入れられた 。

2) 大地を神格化したもので、堅牢な地神と同一視することもある。大地
  の堅牢さ・万物を生育させる恵みをあらわす神として信仰される。
29) 風神 (1) 持物:風袋を負う。
(2) 姿形:右膝を突き、
  左膝を立てる。
  手指は4本、足指は2本。
1) 梵語で ヴァーユと呼ばれる風天で風の力を神格化している。数頭立て
  の馬車で天を駆け悪神を追い払い富貴栄達を授ける鬼神になる。

2) 天界の神酒ソーマを好み 「ソーマパー」とも 呼ばれた。後に、二十八部
  衆に降伏し従う。

3) 風神は風を吹かせる神であり背中に背負った風袋から下界へ大風を送る。
30) 雷神 (1) 持物:連鼓を負う。
(2) 姿形:両手にバチを持ち
  左膝を突き右膝を立てる。
  手指は三本、足指は二本。
1) 元々はインド聖典リグ・ヴェーダに登場するヴァルナという水神で富貴
  栄達を授ける。

2) 後に、龍神、雷神へと変化し日本の中世に入り姿形が創作された。
  二十八部衆に降伏し従い護法十二天の一つになる。

3) 雷神は背中に背負った八個の太鼓をバチで叩いて雷鳴を下界へ轟かせる。