(3) 表面装飾





1) 漆箔
(しっぱく)
仏像の表面を金箔で加飾する技法で、大きく3つに分類される。
1. 像の表面全面に麦漆や糊漆で麻布を貼り、漆錆下地、漆塗り、漆箔する。
2. 像表面に直接、漆錆下地を施し、漆を塗り、漆箔する手法。
3. 矧ぎ目に膠で砥の粉・胡粉等を練った下地を塗り、漆を塗り、漆箔する手法。
2) 彩色
(さいしき)
膠で溶いた顔料で加飾する技法。素地または漆塗りの上に、膠で溶いた白い土で
下地を作り、その上に文様を描く。
3) 截金
(きりがね)
金箔・銀箔を数枚焼き合わせ 、細く切り膠で貼り、細かい文様を施す。
金泥彩の上に切金を施すのは鎌倉初期の名工快慶が得意とした。
4) 金泥
(きんでい)
金箔を細かく練り潰し、溶かしたニカワ等と共に練ることで微粉末状にする。
その後、大量の水で膠分のみを洗い流し、乾燥させると小麦粉の様に細かく滑ら
かな金泥になる。
漆を薄く塗った表面に金泥を蒔く。金箔と比べ、光沢が違い柔らかな表情になる。
肉身部分は金泥蒔きに、衣の部分は漆箔や截金にするというように使用される。
仏の光の表現は、漆箔や、白や黄色の彩色で表現していたが、金泥は、経典の記述
通り、仏自体が光を発するように見えることから快慶が日本で最初に採用する。
5) 土紋
(どもん)
粘土に膠を加えたものを型に入れ、花や葉、法輪などの文様をつくり、乾かない
うちに仏像の衣の部分に漆で貼り付ける。
鎌倉地方周辺にのみ見られる特殊な技法で鎌倉時代後半から南北朝・室町時代の
像に作例がみられる。
来迎寺 如意輪観音半跏像
浄光明寺 阿弥陀三尊像
東慶寺 聖観音立像
鎌倉国宝館 地蔵菩薩坐像
6) 繧繝彩色
(うんげんさいしき)
同系色の色彩の濃淡を、暈(ぼか)しを入れず段階的に彩色し立体的効果を生む。
外側の薄い色から内側(中心)に向かって濃い色にする彩色。