1) 割り首 | 内刳りの技法が発展する過程で生まれた技法。 像の首の付け根に丸ノミを入れて、一旦割り離なして顔面を造作し再度接合する 。 体部と頭部の分業が可能になる。体幹部の干割れが顔に繋がらない等の利点がある。 藤原時代から始まり鎌倉時代以降になると、ごく一般的技法。 |
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2) 差し首 | 首から上を別材で造り、差し込む構造。 鎌倉時代になると、頭部と躰部とを割り首にせず、はじめから別材で造り、 首ほぞで接合する差し首の方法が多くなる。 運慶作の 浄楽寺阿弥陀如来の頭部は四材の矧木で首の根を体部に差し込む。 |
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3) 内刳り(うちぐり) | 像の内部を空洞にして、重量の軽減、干割れの防止を行う。 平安中期までの一木造像は、内刳りがないか、小さくて、干割れが生じる例が多い。 鎌倉時代になると、運慶作品に見られる上げ底式内刳りが見られる。 |
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4) 背刳り(せぐり) | 木材の内部を均一に刳り、乾燥収縮を容易にし、乾燥・収縮による干割れを防ぐ。 立像は背中から、座像は背部や像底から刳り、背中からをとくに背刳という。 背刳りは像の背中から内部を刳り空洞にした後、別材の板で蓋をする。 |
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5) 彫眼 | 仏像の目を木から彫り出し、彩色などで表現する技法。 | |
6) 黒曜石 | 瞳に黒輝石等を嵌入したもので、白鳳から奈良時代にかけての塑像にみられる。 東大寺戒壇院四天王像や三月堂執金剛神像、新薬師寺十二神将像などがある。 平安時代初期には、数は少いが木彫にも使用されており興福寺東金堂四天王像、 唐の渡来仏である東寺兜跋毘沙門天に見られる。 宝菩提院の菩薩半跏像は瞳に黒珠を嵌めこむ。 |
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7) 玉眼 | 平安時代末期に、水晶を加工して、像の内側から嵌め込み、内側に瞳を描き、後ろ から紙を当てる玉眼が発明された。 玉眼の最古例は長岳寺の阿弥陀三尊像と言われる。運慶の仏像では、如来像には玉 眼を用いていないが、例外的に初期作である円成寺の大日如来坐像は 玉眼である。 奈良時代の塑像は黒目に石を前から嵌め込む。玉眼は、『内刳り』という木彫仏像 の内部を空洞にする技法とマッチして、内部から水晶を嵌め、彩色している。 |
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8)錐点 | 錐点は、仏像の身体の表面に錐で穿たれた、目印の穴。木彫仏を彫る際に、目鼻や 口など重要なポイントの位置の座標点として、また髪際や膝張りなど全体のシルエ ット、プロポーションの比例をきっちりととるために穿たれた。 さらに錐点は、座標点を決めるだけでなく、どこまで彫り進むかの深さを決める目安 点になっている。 錐点を穿つ深さを決めておいて、錐点が消えるところまで彫り進めれば、造形の凹 凸のレベルも定めることができる。 平安後期から始まり鎌倉〜江戸期の慶派の仏像に多く見られる。 |